DAISYを語る

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日本障害者リハビリテーション協会

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ソフトウェアの開発

1997年秋、コンソーシアムはwwwファイルフォーマットに基づく公開標準規格の新たな仕様を作成することを決定しました。 しかし、新たな仕様であるDAISY2.02は2001年2月まで認可されませんでした。 けれどもこれは現在、録音図書の最も一般的なソフトウェアになっています。 コンソーシアムはまた、ソフトウェアが録音図書の中で正確に使用されているかを管理する検証ソフトとともに、以前のバージョンを更新するソフトウェアも開発しました。

XMLに基づくDAISY3.0の開発は、NISO標準規格として、視覚障害者および身体障害者のための全国図書館サービス(NLS)との協力により念入りに進められました。 2002年以来、DAISY3.0がデジタル録音図書(DTB)の北アメリカにおける標準規格となりました。

マーケティング

DAISYのマーケティングはフォーマットの普及のために限りなく重要でした。 DAISYは1996年の北京IFLA会議で紹介されたのを皮切りに、2004年ジュネーブで開かれた世界情報社会サミット(WSIS)や2004年12月にケープタウンで開かれた世界盲人連合総会でも紹介されました。

毎年カリフォルニアで開かれるテクノロジーと障害者世界会議(CSUN会議)での展示や発表も、北アメリカの市場開発に役立っています。 また、有名な賞を受賞したこともDAISYの市場を広げるのに役立ちました。 2001年、ジョージ・カーシャ氏とインガー・ベックマン・ヒルシュフェルト氏は、「カナダおよびその他の地域の視覚障害者または印刷物 を読むことに障害のある人々が公平に情報を得られるよう、その障壁を取り除くことにすぐれた功績を挙げた」として、カナダの「デイトン・M・フォーマン博士記念賞」を受賞しました。

営利企業であるタイムワーナーオーディオブックスは、「黒十字の騎士(原題 TheJester)」という小説を、音声図書とオーディオおよびフルテキストによるDAISY図書とで同時出版したことに対し、2004年にへレン・ケラー賞を受賞しました。

世界各地でのDAISYの活動

DAISYコンソーシアムの会員は新たなデジタル録音図書システムの導入に関してさまざまなスケジュールを立ててきましたが、中でもRNIBは大変先を急いでいました。 RNIBは1970年代から使用していた録音図書用の特別な12トラックカセットの製作会社、クラークアンドスミス社との契約を解消したので、すべてのシステムを変更しなければならなかったからです。 同社の録音テープも、録音機器も、テープレコーダーも、高価であるうえに非常に時代遅れになってしまっていました。 RNIBはそれ以来、徐々にDAISYへと移行していき、何千台ものDAISY再生機器を購入してくれました。 RNIBのおかげで、DAISY再生機器の製造会社にとって、ついに市場ができたのです。

フィンランドのセリア視覚障害者図書館も、クラークアンドスミス社を使っていましたが、やはり移行段階として商業用の2トラックカセットを使用することを決定しました。 けれども2004年に新社屋に移るまではDAISYの製作は始めませんでした。

オランダでは政府が二重製作(アナログおよびデジタル)を避けるために急速にDAISYへ移行することを決定しました。 2003年1月に、オランダ社会保障制度の下で、30000台のDAISY再生機器が導入されました。 デンマーク国立盲人図書館(DBB)はすべてのアナログによる蔵書のデジタル化を開始し、ブッククラブを通じて、少人数ではありますが、利用者に対し試験的に図書の貸し出しを行いました。

ノルウェーおよび日本では、視覚障害者に無償で再生機器が支給されましたが、視覚障害以外の、印刷物を読むことに障害がある人々はその対象とされませんでした。 インド、タイ、シンガポール、香港およびマレーシアでは、仕事を持っている方や学生を支援している組織がDAISYの製作を担当しています。 アメリカ合衆国では、視覚障害者およびディスレクシアの人々のための録音サービス機関(RFB&D)が、さまざまな年齢の学生を対象とした教科書をすべてDAISYに変換しました。 一般向けの文学を備えた最大の図書館であるNLSは2008年まで待ち、DAISY3.0を使用する予定でいます。