DAISYを語る

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DAISY再生機器の重要性

適切な再生機器の存在はDAISY構想の成功の決め手となります。 プレクスター社が関心を示し、録音図書製作者および利用者の要求を聞き、その調整に手腕を 発揮してきたことは既にお話しました。 同社がそれまで障害者向けの機器を製作した経験が全く無かったことを考えれば、これは驚くべき貢献であるといえます。 一方、カナダの製作会社であるヴィジュエイド社(現ヒューマンウェア社)は、この分野に長い経験があり、すぐにプレクスター社に追いつきました。

両社は積極的なマーケティング活動により、DAISY構想を広めることに貢献しました。 ですから両社とも、同じようにDAISY再生機器の製作をはじめたアメリカの会社、テレックス社とともに、コンソーシアムの大変重要な「協賛会員」となっています。 しかし同時に、再生機器の価格が高いことが、迅速な成功への妨げとなっています。 再生機器が小型のコンピューターで、それまで可能でなかった方法で本をアクセシブルなものにするという事実は、決定権を持つ多くの方々には理解しがたいようです。 決定権を持つ方は多くの利用者と同じく、DAISY図書の再生もできる主流の再生機器を好むからです。 現在ほとんどの MP3プレーヤーでも、DAISYの構造は利用できないのですが、DAISYを再生することはできるようになっています。

DAISYはいつ主流となるのか?

というわけで、いつDAISYは主流となるのかという疑問が生じてきます。 DAISYの偉大な点、そしてDAISY3.0に向けた開発で何よりも重要なのは、アクセシブルなマルチメディアフォーマットであるという点です。 社会がアクセシビリティを要求するとき、DAISYは既に出来上がったシステムとして そこに存在するのです。 アメリカ合衆国は障害者のためのアクセシビリティを規制する法律、障害のあるアメリカ人法(ADA)がある国です。 もし他の国もこ のような法律を作ることを考えているのなら、DAISYが主流として存在することをお伝えしたいと思います。

インガーの願いごとリスト

インガー・ベックマン・ヒルシュフェルト氏は引退する前に、下のような願いごとのリストを作りました。

TPB で17年間を過ごした私が望むことは、第一に、障害があり、印刷物を読むことができない人すべてがコンピューターを持ち、それがブロードバンドに接続され、インターネットを利用することができるということです。 第二に、新聞がDAISYフォーマットで作成されること、そして第三の願いは、すべての教科書がDAISYフォーマットで製作されることです。

更に私は、図書館や個人利用者がDAISYをダウンロードできる、中枢となるアーカイブができることを望みます。

私はまた、すべての本、雑誌および新聞がDAISYと互換性があるフォーマット、たとえばXMLで保存されることを定めた法律が制定されることを望みます。 こうすることによって、ファイルが簡単にDAISYに変換でき、ナレーションもしくは合成音声付きの、または電子テキストのみ或いは音声、画像、テキストとのコンビネーションによるマルチメディアとして利用することができるようになります。 これらすべての願いは、印刷物を読むことに障害のある人々のため に、電子テキストの製作や画像の使用、そしてインターネットを通じてのアクセシブルなメディアの配信を可能にする著作権法が無ければ、実現することはできません。

私は著作権に関する規制が障壁を設けることなく、印刷物を読むことに障害のある人々のために資料を変換することを可能とし、その結果、世界図書館がつくられることを願っています。 世界図書館の夢はまた、コンソーシアムが掲げるビジョンの重要な一部をなしているのです。