ISO/IEC 23761「電子出版— EPUBアクセシビリティ: EPUB出版物の適合性
及び発見可能性の要求事項」(アイエスオー/アイイーシー 23761「電子出版— イーパブアクセシビリティ: イーパブ出版物の適合性
及び発見可能性の要求事項」)
ISO/IEC 23761 Digital Publishing -EPUB Accessibility -Conformance and Discoverability Requirements for EPUB Publications
ICT(アイシーティー)
(Information and Communication Technology)
日本語訳は、「情報通信技術」。
ITに「コミュニケーション」を加えた用語。
人々の生活やコミュニケーションなどに様々な情報技術が活用されること。
IDPF(アイディーピーエフ)
(International Digital Publishing Forum)
日本語訳は、「国際電子出版フォーラム」。EPUB規格を開発した団体。現在は、IDPFはW3Cと統合して、W3Cの中でEPUBの開発が進められている。
アクセシビリティ
障害者を含むすべての人が利用しやすいものにするため、情報(出版物やウェブサイト等)、物理的環境(交通や建物等)、コミュニケーション、その他日常生活のあらゆる面において、バリア(障壁)を取り除き、幅広い機会とつながりを提供する状況、または、取り組み。
アクセシブル
アクセシビリティの形容動詞形。
Easy Reader Express付きDAISY(イージーリーダーエクスプレスつきデイジー)
Easy Reader Expressという簡易版再生ソフトが同梱されたDAISY図書で、exe形式のファイル。
ダウンロードしたzipファイルを展開(解凍)してインストール後再生できる。
EPUB(イーパブ)
無償で公開されている電子書籍の国際標準規格(オープンスタンダード)で、広く一般的に流通している。EPUBは商用電子書籍のためにIDPFが開発した。
EPUBアクセシビリティのJIS化(イーパブアクセシビリティのジスか)
日本の国際提案を受けて、ISO/IEC 23761「電子出版— EPUBアクセシビリティ: EPUB出版物の適合性と発見のための要件」が2021年2月に発行された。同年の秋から、一般社団法人 情報処理学会 情報規格調査会においてJIS化の作業が進められ、翌年、2022年8月22日に日本産業規格(JIS X 23761)として制定・公開された。
EPUB3(イーパブスリー)
EPUB規格のバージョン3。アクセシビリティへの対応や多言語対応が進み、
DAISY規格と同等のアクセシビリティや、日本語の縦書きやルビへの対応が実現
された規格。
IFLA(イフラ)
(International Federation of Library Associations and Institutions)
日本語訳は、「国際図書館連盟」。
図書館・情報サービスおよび利用者の利益を代表する国際的な機関であり、
IFLAを通じてすべての人の情報アクセスを保障する図書館の役割を促進している。
インクルーシブ
「すべてを含んだ」、「包括的な」の意味。
インクルーシブ社会、インクルーシブ教育などの用語では、「すべての人々を分け隔てなく包み込み支え合う」といったような意味で用いられる。
ABC(エイビーシー)
(Accessible Books Consortium)
日本語表記は、「アクセシブル・ブックス・コンソーシアム」。
WIPO(世界知的所有権機関)が主導し官民協力で、アクセシブルな図書の数を増やすことを目的として運営している団体。
世界中のアクセシブルな図書およびDAISYの目録を公開するグローバルサービスシステムを運営している。
LSN(エルエスエヌ)
(Library Services to People with Special Needs)
日本語訳は、「特別なニーズのある人々に対する図書館サービス分科会」。IFLAの分科会の1つ。
LSNは、何らかの理由で従来の図書館サービスを利用できない人々への図書館及び情報サービスを行っている。
入院患者、服役中の人たち、老人施設に入所している高齢者、在宅患者、聴覚障害者、身体及び発達障害者、ホームレスや難民を含む各対象者に向けたガイドラインを作成している。
LD(エルディー)
(Learning Disability)
日本語訳は、「学習障害」とされ、知的発達に遅れがないにもかかわらず、聞くこと、話すこと、読むこと、書くこと、計算することなどのいずれか(または複合的)に難しさを伴う障害のこと。
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「 通常の学級に在籍する発達障害の可能性のある特別な教育的支援を必要とする児童生徒に関する調査結果について 」という
調査結果により、
学習面で著しい困難を示す児童生徒の割合は、 4.5%。
「読む」又は「書く」に著しい困難を示す児童生徒の割合は、 2.4%。
参考リンク:https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/tokubetu/material/__icsFiles/afieldfile/2012/12/10/1328729_01.pdf
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読みについて困難を抱えることをディスレクシアといい、書きについて困難を抱えることをディスグラフィアという。
この2つは、片方のみ持っている人もいるが、両方持っている人もいる。
LPD(エルピーディー)
(Libraries Serving Persons with Print Disabilities Section)
日本語訳は、「印刷物を読むことに障害がある人々のための図書館分科会」。IFLAの分科会の1つ。
LPDは視覚障害者と他の理由で印刷物を読むことに障害がある人々を対象とした図書館サービスに取り組んでいる。
OCR(オーシーアール)
光学文字認識のこと。スキャンしたものや写真など画像データ内の文字形状のものを認識して、テキストデータに変換するソフトウェアである。
音声デイジー
人の声が録音された音声図書。
本を音声で聞くことができ、
目次から見出しやページを選び、読みたいページに飛ぶことができる。
パソコンや、タブレット、スマートフォン、専用の再生機器などを使って読むことができる。
階層構造(レベル)
一般的には、別名、ツリー構造と呼ばれることがある。DAISYやEPUBでは、レベルと呼ばれることが多い。章がレベル1、節がレベル2、項がレベル3として、見出しレベルを付け、文書を構造化することである。階層構造により、レベル毎に読みたい箇所を探せるようになるため、アクセシビリティの重要な要素である。
合成音声
合成された音声。コンピューターにより人工的に作り出された音声のこと。
サピエ図書館
著作権法第37条第3項に基づき、紙の本を読むことが難しいすべての対象者に向けて、オンライン上でデイジー図書や点字データ等の貸し出しサービスを行っている、電子図書館。
支援技術
支援技術とは、障害の克服または補完のために特別に設計されたハードウェアとソフトウェアの総称である。多くの場合、読むことの障害や視覚障害との関連において使用される。
スクリーンリーダ
パソコンやスマートフォン、タブレットなどで画面に表示されている文字等の情報を読み上げることのできる、ソフトウェア・アプリで、主に視覚障害者や学習障害者等が活用している。
代替テキスト
ウェブコンテンツやDAISY、EPUB3の中の画像に対して、説明文を記載したテキストのこと。
altテキストとも言う。
W3C(ダブリュースリーシー)
(World Wide Web Consortium)
World Wide Webを機能させるための重要な部分を定義し、標準化する活動を行っている組織。
著作権法第37条第3項
2010年に施行された改正「著作権法」第37条第3項により、「視覚による表現の認識に障害のある者」に対して
著作権者からの許諾無しに、対象者が読める形式(点訳、音訳、拡大訳、リライト、DAISY資料など)の複製を行うことが可能となった。
参考リンク:https://www.bunka.go.jp/seisaku/chosakuken/seidokaisetsu/pdf/r1412247_02.pdf
TTS(ティーティーエス)[テキスト音声合成]
(Text To Speech)
テキストから音声を合成し、人間の音声を人工的に作り出すこと。コンピュータはTTSによってテキストの自動読上げを行う。
DAISY(デイジー)
DAISY(デイジー)とは、Digital Accessible Information SYstem の略で、国際標準規格で作られた、アクセシブルな電子図書。DAISYコンソーシアムが開発・維持を行っている。
世界中の紙の本を読むことが難しい人々の読書に利用されている。
DAISY2.02(デイジー二テンゼロ二)
日本で主に使用されているDAISYの規格であり、音声デイジー、マルチメディアデイジーに使われている。
参考リンク:http://www.daisy.org/z3986/specifications/daisy_202.html(英語)
DAISY3(デイジースリー)
米国で標準規格として採用されている。日本では主にテキストデイジーに使われている。
ディスレクシア
読みに難しさを抱える障害のこと。LDに含まれる。文字を見ることができるが、文字と音を結びつけることに困難があったり、言葉のかたまりを見つけるのが困難だったり、文字が二重に見えたり、回転して違う文字に見えたりと、人により、さまざまな症状がある。
テキストデイジー
本文の文字(テキストデータ)や画像を、パソコンやタブレット、スマートフォンなどに内蔵されている合成音声を使って読みあげることができる。
目次から見出しやページを選び、読みたいページに飛ぶことができる。
デジタル教科書
一般的に、教科書の出版社から発行されており、統一された規格はなく、各教科書によって、機能は様々である。一般的な機能としては、教科書の紙面の拡大、紙面へペンやマーカーを用いての書き込み、編集内容の保存、機械音声での読み上げ、色や背景色の変更、ルビ振り、図表の抜き出し、動画やアニメーション、ワークシートでの学習などがあり、主に、困難のない児童生徒が使いやすいよう工夫されている。
読みに困難のある児童生徒にとっては、読上げができない個所があったり、音声のみでのナビゲーションが困難な場合もあり、アクセシビリティの程度は様々である。
参考(文科省のサイトの資料):
https://www.mext.go.jp/content/20210325-mxt_kyokasyo01-100002550_02.pdf
読書バリアフリー法
視覚障害、発達障害、肢体不自由等の障害により、読書に困難を抱える者の読書環境の整備を推進するために2019年6月に施行された法律。 さまざまな障害のある方が、利用しやすい形式で本の内容にアクセスできるようにすることを目指している。
参考リンク:https://www.mext.go.jp/a_menu/ikusei/gakusyushien/1421441.htm
プリント・ディスアビリティ
視覚障害や学習障害、上肢障害、高齢等様々な理由で、紙の印刷物を読むことに困難があること。
ボーンアクセシブル
「生まれながらアクセシブル」の意味。本などの出版物を出版する際に、最初からアクセシブルな形態で出版すること。
マラケシュ条約
視覚障害者及びプリント・ディスアビリティのある人々の出版物へのアクセスを促進するために2013年に世界知的所有権機関(WIPO)の加盟国で採択され、2016年に発効された新国際著作権条約。
2019年に日本は批准。マラケシュ条約の加盟国においては国内法令における権利制限または例外規定により、著作物をアクセシブルなフォーマットにするために必要な変更が許可され、
著作者の許可なしに複製が可能となる。また、これらの複製物の国境を越えた交換も可能となる。
参考リンク:https://www.bunka.go.jp/seisaku/chosakuken/hokaisei/marrakesh/
マルチメディアデイジー
コンテンツ内に含まれる音声を聞きながら、ハイライトされた文字や画像を読むことができる電子図書。
音声デイジー、テキストデイジーと同様、読み上げるスピードや文字の大きさや背景の色を変えることができ、目次から見出しやページを選び、読みたいページに飛ぶことができる。
パソコンやタブレット、スマートフォンを使って読むことができる。
メタデータ[電子書籍・図書に関する]
書籍や図書のタイトル、著者名、DAISYやEPUBなどの製作者又は団体、製作日時、ファイル形式、などの書誌情報のこと。
電子書籍・図書にデータとして含まれているのみならず、提供サイトやシステムなどでも見ることが可能。
メディアオーバーレイ
(Media Overlays)
EPUBでテキストと音声が同期されていること。コンテンツ内に含まれる音声を再生する際に、同時にテキストをハイライトして読むことができる。
ユニバーサルデザイン
ユニバーサルデザインとは、障害者や高齢者だけでなく、年齢や能力、状況などにかかわらず、最初から、できるだけ多くの人が利用可能にすることを基本概念とするデザイン。但し、すべての人にととってアクセシブルとは限らない。
アクセシブルでない場合、特別なニーズに応じた支援技術(機器も含む)との組み合わせも必要となってくる。
LIA財団(リア財団)
(Libri Italiani Accessibili)
イタリア視覚障害者連合(UICI)とイタリア出版社協会(AIE)の協力によって設立された非営利団体。
出版されるEPUB電子書籍のアクセシビリティ仕様を検証・認証している。
リッチコンテンツ
見出しやページ、表やリスト、数式等の情報を、コンピュータによる音声読み上げにおいても、ナビゲーションできるかたちで含む、表現豊かなコンテンツのこと。
ワンソースマルチユース
DAISY/EPUBコンテンツから、音声版、拡大版、点字版等を出力すること。多様なニーズを持つ利用者が必要とする異なる形式に、1つのソースファイルから変換して提供する方法。音声、拡大、点字等をそれぞれ別に、最初から作るのではなくて、同じソースファイルを活用することで、同じ作業を重複して行うことを避け、製作にかかる労力を減らすことができる。