平成20年度障害者保健福祉推進事業
情報アクセスに障害がある人々(視聴覚障害者・認知障害者等)への地域における情報支援に取り組む外国の成功事例をわが国と比較して研究し、日本におけるインクルーシブな情報提供サービスによる地域における情報障害者への支援のありかたを提言する。
障害にかかわるすべての人がITの活用を期待しているが、情報障害者の地域における社会参加において具体的に効果を上げている事例を知る機会は少ない。特に、国情が違う外国の成功事例をそのままの形で紹介されても、現在それなりに機能しているわが国の既存の情報支援サービスを再編成するとなれば、関係者が極めて具体的に何をどうすればもっと良くなるというレベルでの合意形成が必要である。 また、先進技術を世界に誇り、近い将来に障害者権利条約の批准を目指す日本としては、障害者の自立と社会参加の要である情報コミュニケーションにおけるバリアフリーも世界に誇れる水準で実現することを目指すのは当然と言えよう。
そこで、ニーズを知り、外国の先進的な事例の意義を理解できる障害のある学識経験者を中心に成功事例を取り上げて分析し、障害当事者団体、支援者グループ、行政担当者、および関係する学識経験者が一堂に会する研究会を重ねて、日本の国内状況と比較しながら共通理解を広げる国際比較研究を進めて、平成22年度概算要求に反映できる情報コミュニケーション支援による障害者自立支援策の政策提言をまとめることが現実的かつ有効なアプローチであると考える。
ユニバーサルデザインと支援技術を駆使した地域におけるインクルーシブな情報提供サービスの構想は、それぞれの地域ごとに存在する資源を活用しつつ、国全体の調整と連動して、誰ひとり取り残すことなく情報障害者に必要な情報アクセス支援を提供できるサービスとして、誰もが理解しやすい内容と形式で取りまとめることが急務である。
ITバリアフリーの先進国であるスカンジナビア諸国、イギリス、カナダ、アメリカ、オーストラリアとタイ、インドおよび韓国等に共同研究者を募り、主としてネットワークを介して情報収集と意見交換を行い、情報アクセスおよびコミュニケーションに障害がある人々への支援に関わる国および地域・団体レベルでの政策・制度・ガイドラインおよびモニタリングと評価の仕組みに関わる情報収集を行い、対象を絞って対象国のサービスの現場で関係者との意見交換も実施して、日本とそれぞれの国の比較研究を行う。
このような外国の調査研究を進めつつ、国内で先に述べた関係者が一堂に会した研究会を重ねて日本における現状把握を平行して進め、内外の情報を総合して日本における地域を中心とした「地域におけるインクルーシブな情報提供サービスのありかた(仮称)」の提言案を平成21年1月末までにまとめる。
その上で、この提言案の検討をテーマとする2日間の国際研究集会を国内で開催し、国内外の幅広い関係者とともに詳細な検討を行って、日本の地域において国際的な水準の情報バリアフリーを最短時間で満たすための実効性のある政策提言をまとめる。
平成 20年7月1日から平成21年3月31日まで
平成20年度障害者自立支援プロジェクト総括会議の報告 その1
平成20年度障害者自立支援プロジェクト総括会議の報告 その2
平成20年度障害者自立支援プロジェクト総括会議の報告 その3
平成20年度障害者自立支援プロジェクト総括会議の報告 その4
平成20年度障害者自立支援プロジェクト総括会議の報告 その5