ATDO(支援技術開発機構)は、障害者や高齢者の情報へのアクセスとコミュニケーションに関わる分野における、支援技術とユニバーサルデザインの開発、またそれを活用した支援を行うために2006年4月に発足した団体です。
障害者や高齢者の生活の質の向上に役立つ情報支援機器の開発やサポート・研修、OJT(就労したままでの訓練)、トレーナーの養成・派遣を行うとともに、情報コミュニケーション分野において、ユニバーサルデザインの推進及びアクセシビリティに関する評価・助言を行うことを目的としています。具体的には、障害者や高齢者がコンピュータやソフトウェアの操作、データ作成、インターネットでの情報検索を快適に行うために必要な機器の開発およびサポート、情報コミュニケーション技術を用いた障害者の就労、就学、生活支援、高齢者の生活支援、すべての人々に使いやすいデザインの推進などを行います。
現在の主な活動は、DAISYやアクセシブルなEPUB3のリッチコンテンツの普及と研究・開発、点字の携帯情報端末を活用した盲ろう者の情報支援等です。
メンバーは、国内外での開発に関わる経験を生かして、実際に役立つ支援を障害のある人たちを中心に進め、多様な人々が生き生きと暮らせる社会の構築をめざします。
ATDOは、以下の団体の会員です。
日本DAISYコンソーシアムの事務局業務をATDOが担っています。また、日本DAISYコンソーシアムの代表である河村宏ATDO副理事長は、DAISYコンソーシアムの役員として活動に参加しています。

2021年5月
理事長 山内 繁
特定非営利活動法人支援技術開発機構(ATDO)は、障害者や高齢者の情報とコミュニケーションに関わる分野における、アクセシブルな支援システム・支援機器の開発と活用の普及のために2006年4月に発足いたしました。
ATDOは、日本DAISYコンソーシアムの会員として、DAISYのより広範で深化した開発と標準化に取り組んでまいります。さらに、アクセシブルなICTの国内外での普及を通じて、障害者権利条約を基本とするインクルーシブな社会の実現を目指しております。
これまで、アクセシブルなICTの開発、その途上国への転移と普及、インクルーシブ教育への応用、障害と災害などを課題として、それに関連した調査・研究、教育・トレーニングならびにその普及の支援において、国内外で成果を上げてまいりました。とりわけ、中南米・中東地域の諸国におけるアクセシブルなICTの開発並びに普及は、プロジェクト終了後も各国で自律的に発展を続けることが期待されております。
今後とも、アクセシブルでインクルーシブな社会を構築するためのATDOの活動に、皆さまのご理解とご支援およびご協力をお願いいたします。
ATDOは、定款で「電子情報分野において、すべての人々にとって使いやすく、分かりやすいユニバーサルデザインの推進及びアクセシビリティに関する評価・助言を行うことを目的とする」ことを掲げています。
「支援技術開発」を団体名とするATDOがどのようにユニバーサルデザインを推進するのかについて良く質問を受けますので、ATDOが進めている支援技術とユニバーサルデザインの研究開発について以下に説明します。
支援技術とユニバーサルデザインの関係について、国際的に議論を重ねた成果を要約しているのが、2006年に制定された障害者権利条約の第2条の以下の一節です。
ユニバーサルデザインとは、調整又は特別な設計を必要とすることなく、最大限可能な範囲で全ての人が使用することのできる製品、環境、計画及びサービスの設計をいう。ユニバーサルデザインは、特定の障害者の集団のための補装具が必要な場合には、これを排除するものではない。(日本政府訳)
「製品、環境、計画及びサービス」の幅広い話をしているときに「補装具」という訳語が出てくるので、これが身体障害だけでなく精神障害および知的障害を含むすべての障害に関するユニバーサルデザインの話であることがわかりにくくなっています。英語原文では「補装具」のところは” assistive devices”となっています。今であれば様々な障害のある人がそれぞれの使い方をするスマホのアプリやサービスをイメージすると、よりわかりやすいのではないでしょうか?同じスマホやインターネット上のサービスを、スマホのテキスト読み上げ機能や字幕をonまたはoffにして、障害のある人も無い人も一緒に使っています。
障害者権利条約はその前文で「障害が発展する概念である」と言っています。これは、「製品、環境、計画及びサービス」の発展のさせ方次第で、それまでは「調整や特別な設計」が必要と思われていた障害のある人にも、何も特別のことをしなくても使える「製品、環境、計画及びサービス」を増やすことができるという確信に基づく宣言です。
ATDOを設立した人々は、ユニバーサルデザインという考え方を国連の世界情報社会サミットに初めて取り入れさせるために大きな役割を果たしました。その成果は、障害者権利条約に大きな影響を与えています。
このユニバーサルデザインの開発と普及が情報アクセスの格差を最終的に解決するという確信を共有する世界中の人々と連携して、ATDOは一人一人の障害のある人の固有のニーズに向き合い、そのニーズを満たすための技術開発と国際標準化活動を行っています。
その際に、常に第2条のユニバーサルデザインの定義を確認することによって、グローバルにユニバーサルデザインの製品、サービス、設備及び施設の利用可能性及び使用を促進することとしています。
各カテゴリーの最新ニュースが3つ分この下に列挙されます。
2025-09-25 17:39:13 会議・講習等報告 国際
IFLA 世界図書館情報会議 (World Library and Information Congress: WLIC) 2025が、2025年8月18日から22日の5日間、カザフスタンのアスタナで開催されました。本会議は、図書館・情報サービス分野における国際的な旗艦イベントであり、世界の最新動向、課題、イノベーションを学び、議論し、国際的なネットワークを築く最大の年次会議です。弊機構からは、河村副理事長、野村事務局長、ヤスミン研究員(エジプト)が参加し、情報アクセシビリティに関する活動報告と情報収集を行いました。
詳しくは、ヤスミン研究員による参加報告レポート(英文)を弊機構ホームページに掲載しております。以下リンクから、ぜひご覧ください。
2025-04-15 11:41:35 国際 会議・講習等報告
2025年1月30日、カイロ国際ブックフェアの枠組みの中で、「 Introductory Seminar on DAISY: Challenges and opportunities(DAISY入門:課題と機会)」と題するセミナーが開催されました。
エジプト在住のスタッフによるこのセミナーの英文レポートをお届けします。以下のリンクからご覧ください。
2025-03-05 11:48:35 教育 会議・講習等報告
※本講演のデザイン版も作成しました。リンクは こちら
2025-03-12 13:28:17 DAISY/EPUB情報 ソフトウェア
トリウムリーダー バージョン3.1のWindows用インストーラは、次のリンクからダウンロードできます。
https://github.com/edrlab/thorium-reader/releases/download/v3.1.0/Thorium.Setup.3.1.0.exe
MacやLinux用のインストーラを含むその他の情報は次のページ(英語)にあります。
https://thorium.edrlab.org/en/
M.M.
2025-02-26 16:51:47 DAISY/EPUB情報
DAISYコンソーシアムが開発している、EPUBのアクセシビリティ・チェックツールであるAceのバージョン1.3.6がリリースされました。
日本語対応が改善されました。
Aceのレポート内の、「詳細」のリンクから、日本語訳されたアクセシブル出版ナレッジベースが開けるようになりました。
是非ご活用ください!
Windows版Ace1.3.6ダウンロードリンク
https://github.com/daisy/ace-gui/releases/download/v1.3.6/Ace.by.DAISY.Setup.1.3.6.exe
Aceダウンロードページ(英語)
https://daisy.github.io/ace/getting-started/ace-app/#where-can-i-download-the-ace-app
Aceウェブサイト(英語・DAISYコンソーシアム内)
https://daisy.org/activities/software/ace/

M.M.
2025-02-25 17:43:36 DAISY/EPUB情報
EPUBなどの電子出版物をアクセシブルに作成するためのガイドである、「アクセシブル出版ナレッジベース」が日本語になりました!
DAISYコンソーシアムによって作成されたページが、日本ライトハウス情報文化センターがSARTRASに助成を受けたプロジェクトによって、日本語訳されました。
EPUB、CSS、HTML、メタデータ、ナビゲーションや、アクセシビリティ規格(WCAG、EPUBアクセシビリティ)などについての情報が使用事例と共に掲載されています。
ぜひ、ご活用ください。
https://kb.daisy.org/publishing/ja/

2025-03-12 13:28:17 DAISY/EPUB情報 ソフトウェア
トリウムリーダー バージョン3.1のWindows用インストーラは、次のリンクからダウンロードできます。
https://github.com/edrlab/thorium-reader/releases/download/v3.1.0/Thorium.Setup.3.1.0.exe
MacやLinux用のインストーラを含むその他の情報は次のページ(英語)にあります。
https://thorium.edrlab.org/en/
M.M.
2024-12-23 17:15:43 ソフトウェア DAISY/EPUB情報
Thoriumリーダーが、日本電子出版協会の第18回電子出版アワード「エキサイティング・ツール賞」を受賞しました。
受賞の様子は、以下のYouTubeのリンク先「第18回電子出版アワード発表」の38:27「エキサイティング・ツール賞 Thorium Reader 紹介:馮 富久 様」でご覧いただけます。
https://www.youtube.com/watch?v=Kzo-Opoqcfc&t=2307s
M.M.
2024-12-23 17:00:18 ソフトウェア DAISY/EPUB情報
Thoriumリーダー 3.0がリリースされました。
インストーラのダウンロードは以下のリンクから「Thorium.Setup.3.0.0.exe」
https://github.com/edrlab/thorium-reader/releases/download/v3.0.0/Thorium.Setup.3.0.0.exe
更新点は次の通りです。

M.M
2025-03-12 10:38:33 教育
ATDOでは、授業目的公衆送信補償金等管理協会(SARTRAS)の共通目的事業・助成事業の2024年度助成を受けて、「日本語に通じない児童生徒」へのデイジー教科書の利用促進プロジェクトを実施しています。当プロジェクトで行われたイベント、録画公開の記事などは、下記プロジェクトページからアクセスいただけます。
プロジェクトページはこちら:https://www.atdo.jp/1651
2025-03-05 11:48:35 教育 会議・講習等報告
※本講演のデザイン版も作成しました。リンクは こちら
2025-03-04 18:08:44 教育
ATDO主催のデイジー図書読書体験会のお知らせです。
「デイジー(DAISY)って何だろう?」
「聞けばわかるのに、文章を読むのが苦手・・・」
「日本語学習に困難を抱える子どもたちを支援したい!」
そんな方々へ。本を読むのが難しい人でも、本の内容を「聴く」「見る」「操作する」ことで、より快適に楽しめるように作られたデジタル図書が「デイジー(DAISY)図書」です。
ATDO主催【シンポジウム(事業報告会)「日本語に通じない児童生徒」へのデイジー教科書の利用促進の取り組みについて】の開催前に、実際にデイジー図書に触れていただける体験会を実施いたします。デイジー(DAISY)とは何か、実際に会場で体験していただけます。ご興味のある方は、以下の概要をご確認の上、ぜひお申し込みください。
※ 本事業は、SARTRAS 2024年度共通目的事業・助成事業の助成を得て実施しています。
プロジェクトページはこちら→ https://www.atdo.jp/1651
【体験会概要】
【その他】
2025-10-29 11:30:19 関連催しのお知らせ
このたび、日本電子出版協会(JEPA)が開催するLCPセミナーに、弊機構の河村副理事長が登壇いたします。国際規格であるReadium LCPと、そのJIS化の展望に焦点を当て、アクセシブルな電子出版の未来について解説するセミナーです。 EDRLabの主要メンバーも登壇する国際セミナーで、日本語の逐次通訳付きです。河村は「日本の出版者に期待するLCPの実装」について講演予定です。
講演会後は、登壇者との個別の名刺交換や懇談が可能です。(対面参加の方のみ)
講演会は、オンライン参加も受け付けておりますので、多くの方のご参加をお待ちしております。
アクセシブル電子出版のための保護と流通の新しい標準 ― ISO/IEC国際規格Readium LCPとJIS化の展望
日時: 2025年11月5日(水)14:00~16:00
会場: 東京都新宿区横寺町55(旺文社)、定員20名 / オンライン(YouTube LiveまたはZoom)
参加費: 無料
主催: 日本電子出版協会(JEPA)・情報アクセシビリティ機構
詳細・お申し込みはこちらから
(対面)https://www.kokuchpro.com/event/20251105A/
(オンライン)https://www.kokuchpro.com/event/20251105L/
【LCPとは】
これまでの電子書籍は、特定のストアで購入すると、そのストア専用のDRM(アプリ)でしか読めない「囲い込み」が主流でした。 LCP(Licensed Content Protection)は、この「ストアの垣根」を取り払い、どのストアで買った本でも、読者が選んだアプリやデバイスで読めるようにする、新しい保護と流通の仕組みを実現できる、アクセシビリティにも配慮したオープンソースDRMで、国際標準規格になっています。
2025-07-03 11:28:45 関連催しのお知らせ
ATDOが事務局を務める日本DAISYコンソーシアム(JDC)が、日本電子出版協会(JEPA)とともに講演会「読みに困難のある子どもたちに公平なテストを:アクセシブルCBTとPNPの可能性」を開催いたします。
以下、講演会のご案内です。皆様のご参加をお待ちしております。
「読みに困難のある子どもたちに公平なテストを:アクセシブルCBTとPNPの可能性」
日本における教科書のアクセシビリティは、日本DAISYコンソーシアムが長年にわたって取り組んできたデイジー教科書によって切り拓かれてきました。現在では全国の学校で導入が進み、ルビ表示、音声読み上げ、文字サイズ調整といった機能を備えた教材の提供が現実のものとなっています。こうした取り組みにより、アクセシブルな学習環境の実現に向けた試行と実装が着実に進んでいます。一方で、コンピュータを使った試験の方式であるCBT(Computer Based Testing)におけるアクセシビリティは、日本国内ではほとんど議論も実践もされていない分野です。欧州ではすでに、CBTのアクセシビリティは重要な社会的課題とされており、2025年施行の欧州アクセシビリティ法(EAA)によって、未対応のCBTは訴訟の対象となる可能性が指摘されています。
本セミナーでは、CBTにおけるアクセシビリティの国際的な動向と、日本における具体的な実現可能性についてご紹介します。特に、ディスレクシアなどの読みに困難を抱える受験者に向け、テスト画面の文字サイズ・配色・行間などを自動的に調整する「PNP(Personal Needs and Preferences)」という仕様の概要と、科研費基盤研究21H04419(研究代表者: 大学入試センター 南谷教授)によって開発されたデモをご紹介します。また、WordやExcelから簡単にアクセシブルなテスト問題を作成できるYasashiQTIと、PNPに対応したテスト受験を提供するAmp-up playerとの連携についてもご紹介します。
村田 真 氏(東日本国際大学 名誉教授、日本DAISYコンソーシアム技術委員長)
XMLを制定したW3C XML WGメンバーであり(1997)、EPUB 3の国際化をIDPF EPUB国際化サブグループリーダとして主導した(2010)。OOXMLのメンテナンスを行うISO/IEC JTC1/SC34/WG4の委員長でもある(2010-現在)。直接関わってきた仕様はほかにも、RELAX NG, ODF, NVDL, QTI3, ODAなどがある。フォーラム標準とISOの両方において国際的に高い知名度と強い影響力をもつという点で日本では稀有な存在である。京都大学理学部を1982年に卒業し、筑波大学より博士(工学)を2006年に取得した。
工藤 智行 氏(サイパック取締役社長、日本DAISYコンソーシアム技術委員)
日本語ワープロ、ソフトウェアのローカリゼーション、XMLの独自DOM/XPath/XSLTエンジン、全文検索エンジンFINDSPOT、障害者向けソフトウェアなどの開発に取り組む。 文書情報処理を長年の開発テーマとしている。 iPhone/iPad用のDAISY/EPUBのアクセシブルなリーダーアプリである「ボイス オブ デイジー」「しゃべる教科書」を開発。
李 在範 氏(ネットラーニング・ホールディングス取締役CTO)
2006年に株式会社ネットラーニングに入社。以後、教育プラットフォームの基盤構築および拡張に携わり、企業・官公庁・教育機関を対象とした多数の大型プロジェクトをリード。近年では、2024年に文部科学省の「MEXCBTプロジェクト」を完遂。
以上
2025-05-14 17:45:14 関連催しのお知らせ 国際
弊機構の河村副理事長が登壇する、日本障害者リハビリテーション協会主催のオンラインイベント「リハ協カフェ」が 5月23日(金) に開催されます。本年4月にドイツ・ベルリンで開催された、障害者の権利とインクルージョンを世界的に推進するための重要な国際会議「Global Disability Summit 2025」について、河村より参加報告をさせていただく予定です。詳細・お申込みは、主催者ホームページ(https://www.jsrpd.jp/cafe26/)をご覧ください。
【第26回「リハ協カフェ」概要】
日時: 2025年5月23日(金)13:30~15:15
会場: オンライン(Zoom)
参加費: 無料
定員: 100名
詳細・申込: 主催者団体ホームページ(https://www.jsrpd.jp/cafe26/)
申込締切: 2025年5月22日(木)15:00
以上
2025-10-28 17:47:40 国際
ATDOが事務局を担っております日本DAISYコンソーシアム(JDC)のホームページで、DAISYコンソーシアムのInclusive Publishingニュースレター2025年10月号の翻訳記事が公開されています。
以下のリンクからご覧ください。
Inclusive Publishingニュースレター2025年10月号 https://www.japandaisy.org/204
2025-10-24 21:02:30 国際
ATDOが事務局を担っております日本DAISYコンソーシアム(JDC)のホームページで、DAISYコンソーシアムのニュースレター「DAISYプラネット」2025年10月号の翻訳記事が公開されました。
以下のリンクからご覧ください。
https://www.japandaisy.org/202
2025-10-03 14:43:38 国際
ATDOが事務局を担っております日本DAISYコンソーシアム(JDC)のホームページで、DAISYコンソーシアムのInclusive Publishingニュースレター2025年9月号の翻訳記事が公開されています。
以下のリンクからご覧ください。
Inclusive Publishingニュースレター2025年9月号 https://www.japandaisy.org/201
2025-09-04 14:23:17 その他
日本DAISYコンソーシアム(JDC)から、文部科学省「デジタル教科書推進ワーキンググループ」への提言書が提出されました。
文部科学省が主催するこのワーキンググループでは、デジタル教科書の今後のあり方や普及を推進するための方策が検討・審議されています。このたび、国際的なアクセシビリティに関して日夜開発と普及を進める日本DAISYコンソーシアムから、技術的な提言がなされました。
JDCホームページで提言書が公開されています。以下のリンクからご覧ください。
文部科学省「デジタル教科書推進ワーキンググループ」への提言書 https://www.japandaisy.org/200
2025-07-31 15:05:41 その他 国際
7月11日に南アフリカのシャキラさんと、日本ライトハウス情報文化センターを訪問し、シネマデイジーについてお話を伺いました。また、用具部を訪問しました。
映画には、視覚障害者が内容を理解できるように、目に見える情報を音声に変えて解説する「音声解説」が付加されたものがありますが、全ての映画についているわけではありません。ライトハウスでは、視覚障害のある人からの要望に対応して、シネマデイジーの製作と提供をしています。シネマデイジーとは、映画の音声に、視覚障害者用の音声解説を付加し、見出し移動のできるDAISY形式にしたものです。
南アフリカには、音声解説付きの映画がなかったため、シャキラさんは自身で会社を立ち上げ、南アフリカでの製作と普及を進めています。シャキラさんの会社は、シャザシン・アクセシブルメディア(Shazacin Accessible Media)といい、最近は映画だけでなく、観光コンテンツへの音声解説の付加も始めています。観光コンテンツについては、自作のものが多く、ウェブサイトから南アフリカのケープタウンやダーバンの観光地の情報などが英語で閲覧できます。
シャザシンの観光コンテンツは、現状では見出し移動ができないため、シネマデイジーのように見出し移動ができるDAISY形式にするためのプロジェクトを実施したいという話もでました。
用具部では、白杖や、視覚障害者に対応したボードゲーム、音が出たり触覚で理解できる時計などを見ました。南アフリカには、日本のような質の良い白杖がないようで、高品質で種類も多い白杖をいろいろ試しました。
最後に、日本のいろいろなもののミニチュア模型を手で触る体験をしました。仏像や古墳などを触って形を確認することができました。
また、ライトハウスの建物そのものについても、エレベーターやトイレで、音声による案内があり、南アフリカでもこのようなサービスがあればよいと話しました。
ご対応くださった日本ライトハウス情報文化センターのみなさまに感謝いたします。

写真:前列右から、プラシャンさん、シャキラさん、数又さん。後列右から、久保田館長、牧尾、竹下常務理事。
M.M.
2025-07-18 15:51:59 その他 国際
DAISY南アフリカのシャキラ・マハラージ氏と、富山のユニバーサルツーリズムに参加しました。
国立民族学博物館の広瀬浩二郎氏と、富山国際大学の一井崇氏は、富山でユニバーサルツーリズムの実践研究を進めており、2025年7月6日から8日に、お二人と共に、全盲のシャキラ・マハラージ氏、ご子息のプラシャン・マハラージ氏と、当法人の牧尾がモニターツアーに参加しました。
富山の越中瀬戸焼の陶芸体験や、立山信仰のガイドツアーに参加した他、富山のます寿司をはじめとする特産品の食事や温泉、旅館の和室の部屋での宿泊体験などをしました。
陶芸は、立山町の千寿窯で、陶芸家の吉野香岳氏の指導で、造形と削りを2日間にわたってゆっくりと時間をかけて体験しました。2日目には越中瀬戸焼を使ったお茶会の体験もしました。
立山信仰のガイドツアーでは、昔の信者のかぶった傘をかぶり、木のつえをついて神社を歩いたり、和太鼓をたたいたり、笛を聞く体験、また、400年前の杉の木を触って体感したりしました。閻魔堂では、閻魔様のミニチュア模型を触ったり、地獄で使われるとされるのこぎりや、熊などの動物の毛皮を触ったりしながら、信仰について学びました。
富山には、山も川も海もあり、障害のある人もない人も共に体感できる環境資源が豊富です。
当法人でも今後、情報アクセシビリティの観点から、ユニバーサルツーリズムに関してどのような取り組みができるか、考えていきたいと思います。
M.M.