<浦河だより>文と夕日
2022-12-26 12:27:47 その他
<浦河だより >は、浦河に滞在するATDO職員より、べてるの家や浦河町について紹介する不定期のお便りです。
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「文と夕日」
最近、浦河の夕日がとても美しいです。冷気で空気が澄んでいるからかもしれません。
写真のルピナスの丘には、隣にファミリースポーツセンターもあり、夕方にバスケットボール等をそこでする人々の声が響きます。
ルピナスの丘には、鹿もいて、静かにたたずんでいました。
(夕日のしずむルピナスの丘の風景)
そこにいると、ある出来事が思い起こされました。
ある日、私のべてるの仲間の一人が、べてる見学者の女性からの注文の品が出来たと刺繍を施したTシャツを手に、嬉しそうに話していました。
けれどもその後、代金を支払ってほしいのに商品を注文してくれた方と連絡が取れないと、相談してきました。
彼女の手には、宅急便の着払い伝票があり、追跡してみるとすでに品物は到着しているようでした。
彼女は、「きっと忙しいんだね、文を書いてみるよ。優しそうな人だったから大丈夫。」と言いました。
その時、彼女が少し、考えた表情をしていたのが気になりました。
数日たってから、代金を支払ったという内容の文がきた、と嬉しそうに彼女が電話をくれました。
そして、その後、そのTシャツを購入してくれた女性から再び文がきたそうです。
文面からしてもその女性はとても優しい方のようだ、と、彼女は語り、
「やっぱり忙しい人には文だね」と言いました。
人の心は、直に会って話すのが一番わかりあえる、といつも言っていた彼女から、待つことの大切さと、信じることの大切さも教えられた一件でした。
「私にはこういう人との繋がりが一番大切なんだ」と話す彼女の笑顔が、ルピナスの丘から眺める夕日のように輝いていました。
(記事:A.N)
M.A