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海外図書館オンライン研修に参加して

2023-03-13 09:54:12  会議・講習等報告

海外での図書館の取り組みについてバーチャルで、5か所の図書館(ノルウェー、ドイツ、アメリカ、タイ、台湾)からの発表を聞く機会があった。

初めに、鶴見大学の名誉教授である長塚先生から、日本の教育が目指す、理系学生を増やす取り組みと、アメリカで目指されている文系の人にも基礎知識として理系の基礎を学ばせるという方針のどちらがよいのかという議題と、大学の学生数が増えている日本に比べ、アメリカで学生が減っている、それはなぜかという議題の2つが与えられた。

各図書館から、以下のような様々な、先駆的な取り組みがあったので紹介する。

オスロ大学人文社会図書館(矢部さん)からは、コロナ禍での図書館のあり方が変わり、現地に行かなくても、研究のための資料集めがされており、海外の図書館間をまたいで、デジタルになっていないもの特に日本の資料の収集の難しさについてと、新たな取り組みとして本以外のもの、たとえば特殊ミシンや楽器の貸し出しをしていることが印象に残った。

ミュンヘン国際児童図書館(日本部門、中野さん)からは、平和教育をテーマに作られた図書館であることから、「ホワイト・レイブンズ」に載せる本を選定する際にもそのような思想が反映されているというお話と、子供たちが国内外の文化に触れることを目的として開かれている「ホワイト・イブンズファスティバル」で、絵本の作者と子供たちがレクリエーションを交えながら交流を持っていることを紹介されていた。
「ホワイト・レイブンズ」とは、ミュンヘン国際児童図書館が、世界の優れた児童書を多くの国の子どもに読んでもらうことを目的として、毎年刊行している国際推薦児童図書目録

ニューヨーク公共図書館(Lehmanさん、Cohen さん、Takahashiさん、Blancarte-Haywardさん)からは、ニューヨークに職場や、住居がある人たちが使える図書館であるが、他の地域の状況も把握しており、ニューヨークに限らず、ビジネスに関するデータベースの扱い方についてなど、他の図書館で登録した人にも支援できる体制があるという話があった。、また、初心者から学べるビジネスの講座や、設計方法の講習にも力を入れているとのことだ。

チュラロンコン大学図書館(Pimnamaさん)からは、来館人数をアプリケーションで管理することで、無人図書館の実現をしたことや、図書館にいる職員にも大学の修士課程と同等の能力を求めるなどスキルを上げることで、利用者の支援の幅を広げることを考えているとの説明があった。図書館に、SNSなどへの投稿のためのスタジオも設置されており、借りることができる。また、図書館周りのガーデニングに生活排水を使うことで、環境問題にも取り組まれていることが話されていた。

中原大学図書館(Chen先生)からは、審美的なリテラシーに力を入れており、音楽、映画、講演といったイベントに学生が参加することによって、競争社会だけでない、心にも豊かな生活をおくれる人材を育てている。それらに参加することで、大学で学んでいる専門的な分野の学問以外のところの興味や、知識も学生が持つようにしている。また、これからの取り組みで、新しい技術についても学び、スタッフが最低限、専門用語を知っている必要があった。

最初に長塚先生からあった議題について5つの図書館の発表を通じて考えてみると、
アメリカでは、文系の人にも、STEM教育をすることを考えられている。そのような流れもあってか大学に行かなくても、公立の図書館で学べてしまうことがたくさんあり、大学に通って、専門的な知識を付けたいという考えが減ってきているのかもしれないと思った。コロナ化で、お金がなく、大学に継続して通うことができなくなり、学生が減少しているという話もあった。大学には行くためには、お金がないと通えないのに対し、図書館は、お金がなくても行ける場所で専門的な知識を提供しているというところにも学生が増えない理由であると感じた。また、お話を聴いて、学生が減っている=学力が下がるではないということも感じた。


A.O

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