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ATDOエジプト職員・インドニューデリーでの出張レポート ―IFLA /LPDセクション中間会議出席、障害者支援施設の視察等―

2023-04-06 11:14:32  会議・講習等報告

ATDOのエジプト職員1人が、IFLA /LPDセクションメンバーとして、3月15から19日にかけて、インド・ニューデリーに出張しました。
その際の出張レポートをお届けします。


ATDOエジプト職員・インドニューデリーでの出張レポート

IFLA /LPDセクション(印刷物を読むことに障害がある人々のための図書館分科会)中間会議(mid-term meeting)
IFLA /LPDセクション(印刷物を読むことに障害がある人々のための図書館分科会)が、ニューデリーで中間会議を開催しました。
この会議は、サクシャム(注1)と協力してインド ガンディー国立芸術センターが主催しました。


(写真1:インディラガンディー国立芸術センターの前で撮影した、LPD セクションとサクシャムのメンバー)

プリント・ディスアビリティのためのインクルーシブな図書館サービスのガイドラインを作成する作業部会は、IGNCA (注2・インディラガンジー国立芸術センター)で会議を開催しました。
作業部会は、ガイドラインの範囲といくつかの章の見直しに取り組みました。今後の月例会議で活動を継続していきます。
IFLA/ LPD (印刷物を読むことに障害がある人々のための図書館分科会)セクションでは、2 日間にわたって中間会議が開催されました。
この会議は、セクションが主催する最初のハイブリッド会議でした。会議中、常任委員会はセクションの範囲と名前について議論し、年次報告書をレビューし、セクションの進行中の活動の進捗状況のフォローアップをしました。

(写真2:中間会議で円卓に座る LPD セクションのメンバー)


インディラガンディー国立芸術センター・施設ツアー
IGNCA (インディラガンディー国立芸術センター)は、LPD グループのメンバーに向けて、施設のツアーを行いました。私たちは国立芸術センターのレファレンスライブラリーを訪問しました。図書館には、主に研究者である利用者にサービスを提供するための貴重な本とマイクロフィルムの膨大なコレクションがありました。
センターが所有する大規模なアート コレクションや、有名な写真家の珍しい写真も見てきました。ツアーは次の場所への訪問で終了しました。

 
(写真3 左:IGNCA ライブラリ コレクションの一部である珍しい本のページ)
(写真4 右:LPDグループに古写本の修復過程を説明するIGNCAスタッフ)


障害者支援施設への訪問
・特別支援学校・サクシャム学校
翌日、LPDグループは、障害者にサービスを提供するいくつかの施設を訪問しました。私たちは、はじめに視覚障害、多感覚障害と聴覚障害を持つ子供のための学校・サクシャム学校に訪問しました。学校では、学生の感覚、コミュニケーション、および日常生活スキルの向上をサポートするために、さまざまな活動を提供しています。これらの活動は、学生がより自立し、普通の学校や社会に溶け込む準備をサポートすることを目的としています。さらに、学校には図書館があり、アクセシビリティ対応の書籍を読んだり、印刷物をスキャンしたり、OCR を使用したりするために必要な支援技術ツールが備えられていました。

(写真5:視覚障害、多感覚障害および聴覚障害を持つ子供のためのサクシャム学校の様子 1. 学校の生徒が手作りしたバッグのコレクション 2. Orbit Reader で読んでいる学生の手 3. 目隠しをして生徒に点字を教えている教師 4. 生徒が学校で行う日常活動のフローチャート 5 さわる本のコレクション 6. 画像をスキャンしてテキストに変換するスキャナー 7. コミュニケーションに使用されるさまざまな記号を示すボード 8. 木からのさまざまな製品を示す木の触覚イメージ 9. 学校図書館のポスター: READ-ABLE LIBRARY)


・国立支援医療技術センター
2 番目の目的地は、国立支援医療技術センターでした。このセンターは、障害者向けの支援技術ソリューションの研究と開発、支援技術製品の評価、アクセシブルな講座やガイダンスとサポートの提供、意識向上のための社会支援を目的としています。
スマート杖(超音波センサーを使って障害物を検知し警告が出る杖)、オンボード (注3・公共バスの路線番号読み取り・搭乗システム)、点字ディスプレイ (ドットブック)、STEM 素材の触覚グラフィックスなど、様々な最新の支援技術を見てきました。

(写真6:国立支援医療技術センターの様子  1. 触覚の本  2. スマートケーンが障害物を検出する様子を示す触覚画像 3.触覚はしごとスネークボードゲーム  4. 心臓の触覚イメージ 5. ジャーマー・マスジッド記念碑の触覚イメージ 6. 視覚障害のある生徒に幾何学を教えるために使用されるキット 7. 消化器系の触覚イメージ 8. スマート ホーム ツールのコレクション 9. アクセシブルなボードゲームのコレクション)

コミュニティ図書館プロジェクト - TCLP
すべてのサービスを無料で提供し、アクセシブルでインクルーシブな図書館になるための取り組みを行っているコミュニティ図書館プロジェクト - (TCLP) が最後の目的地でした。彼らは障害者に対して個別のサービスを提供していないようでしたが、アクセシビリティサポートは、すべての人に提供される一般的なサービスに含まれていました。
図書館は現在、誰でもアクセスできる図書館プログラムに取り組んでおり、誰もが読書できるインクルーシブで、皆を迎え入れられる空間を提供しようとしています。
読書をサポートする新技術ツールがあり、棚には点字の本があり、スペースは車椅子に対応していました。

(写真7:コミュニティ図書館プロジェクトの様子 1. 車椅子利用者が階段を利用できるようにする移動椅子 2.図書館の正面玄関 3.図書館で最も多くの本を読んだユーザーのリスト 4. 図書館の棚にあるさわる本 6. 棚にある点字本  7. 図書館の入り口にある落書き: 「どなたでも歓迎」 8. 図書館の閲覧エリア内で読書をする図書館利用者。 9.図書館の連絡先情報やソーシャルメディアを掲載した図書館の掲示板)


IGNCA と Saksham の共同セミナー
IGNCA と Saksham の共同で開催されたセミナーでは、活字障害を持つ人々の情報へのアクセスを改善することに焦点が当てられていました。
セッションでは、LPD 図書館と公共図書館との連携に関するさまざまな国のベスト プラクティスと、包括的図書館サービスに関するベスト プラクティスが発表されました。
セミナーでは、印刷物の障害を持つ人々が読書にアクセスできるようにするためのインドの地域の取り組みにも焦点が当てられました。

(写真8:Dipendra Manocha氏のスピーチを聞きながら座っているオープニング セッションのスピーカー)

全体を通して、今回のインドの出張は、すべての人にとってインクルーシブでアクセスしやすい図書館の開発に焦点を当てた議論とアイデアや意見交換の機会を提供してくれました。

(記事:yasmine youssef)

注1 サクシャム:視覚障害などのプリントディスアビリティを持つ方を、教育や支援技術、アクセシブルな書籍、文化等の分野で支援する、インドのNGO団体。
注2 IGNCA :インディラガンディー国立芸術センター。芸術、文書、視覚資料の主要な資料センターとして国立で運営され、芸術と人文科学に関する研究と出版に関連する多様なプログラムを実施している。
注3 オンボード:視覚障害等で路線番号を読み取ることができない方のためのバス乗車支援システム。オンボードの専用端末(モバイル)で、バス内に設置された機械と通信することにより、近くのバスの路線番号・ルート等を聞くことができる。バスターミナル等で、ユーザーが専用端末の「クエリボタン」を押すと、クエリを受信した各バスのルートの読み上げが始まり、ユーザーは目的のバス番号が読み取られたときに選択ボタンを押すことで、目的ルートのバスに乗車することができる。

(翻訳:M.A、M.N)


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M.A

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