国際DAISYコンソーシアム活動概要(2020年11月)
2020-12-24 15:32:30 DAISY/EPUB情報
規格関連
- EPUBアクセシビリティが、全会一致でISO規格として承認された。
- W3Cで次期規格のEPUBアクセシビリティ(1.1)に向けた活動が始まった。
- W3Cでオーディオブック(audio books)規格が最終投票の段階に達した。
- DAISYのObiが製作ツールの最初のリファレンス実装となった。
- EPUB3のメンテナンスと開発のための新しいEPUB3作業部会が始まった。
- WCAGでも出版に関する要望を入れるための活動をしている。
- Publishing CG(コミュニティグループ)でのアクセシビリティ・メタデータフォーマット(accessibility metadata formats)の調和活動を継続している。
- DIAGRAMプロジェクトが成功裏に完了した。
Pipeline2プロジェクト
- BraileNetの開発者との協力が大変うまくいっている。
- 6月と7月に、バージョン13.4と1.13.5をリリースした。
- 点字スクリプトに複数の改善があった。
- TTSアダプターに関する再発したバグを修正した。
- 次期バージョンではEPUB2からEPUB3への変換スクリプトを含める予定。
- EPUB3からDAISYへの変換について長期的な仕事での進歩があった。
- プロジェクトロードマップに、外部助成によるNNELSプロジェクトを反映した。
- 人気の高いSave as DAISYプラグインの仕事が始まり、同時にPipelineの様々な改善につながっている。
ObiとTobiプロジェクト
- メンバーからの要望を、継続してObiに反映している
- 2020年8月に6アルファ(テストバージョン)をリリースした。
- 音声処理機能を拡張した。要望の高かったノイズ低減、音声のミックス、フェードイン・フェードアウトの強化の他、キューマークのインポート機能も追加した。
- Obiは、W3Cのオーディオブック(audio books)規格の、初めてのリリース可能なリファレンス実装となった。
- Tobiはメンテナンスフェーズを継続している。
- 2つのツールの利用者層は増え続けている。
EPUB3への移行(Transition to EPUB 3)
- EPUB3はDAISYコミュニティと主流技術の懸け橋である。
- TIES製作グループとDIAGRAMスタンダードグループが共同で、MathMLと長文の代替テキストの優良事例の暫定版をオンラインで公表した。
- 化学作業部会は、W3CのMathML CG(コミュニティグループ)を通して化学式に関する活動を進めている。
- 再生システムグループでは、テストを継続している。基本機能テストスイートに待望の技術であるMathMLと長文の代替テキストが含まれた。
- アクセシブルな再生アプリをまとめたリストを更新した。
- 2020年1月から、40通り以上の再生システムのテストを実施した。
アクセシビリティ・ベースラインプロジェクト(Accessibility Baseline Project)
- ベースラインプロジェクトは蓄積した助成金によって継続しているが、資金は減少している。
- Aceコマンドライン(1.2.0ベータ)は、2020年11月12月頃にリリースを予定しており、Axe core ライブラリのメジャーアップデートとオランダ語の修正を含む予定である。
- Aceアプリのリリースも同時に予定している。オランダ語翻訳とDAISY知識ベース(DAISY Knowledge Base)の更新等を含む予定である。
- 並行してSMARTの改善も少しずつ継続している。
- インクルーシブ出版(inclusive publishing)ウェブサイトの更新も継続して実施している。
コミュニケーション
- すべてオンラインに移行した。
- DAISYコミュニティには、定期的なニュースレターを発行して、記事、イベント情報などを共有している。
- ロゴに関する要件を更新した。
- インクルーシブ出版コミュニティには、パートナーに対する四半期毎の情報共有が非常にうまくいっており、記事やニュースを通して多くの情報を共有している。
- COVID-19の影響で、インクルーシブ出版のメンバー集めは減速している。10を目標としていたが、4つのパートナーの参加を予定している。
daisy.orgウェブサイト
- 予定していたウェブサイトの開発は完了した。
- 将来の拡大に向けた柔軟性を兼ねそろえた、安定した、新しいウェブサイトになった。
- メンターにサポートされた豊富な研修を世界中の視聴者に向けて配信するための、新しいオンライン研修の手法が、WIPOとの共同で、試験運用され開始された。
アクセシブル・ブック・コンソーシアム(Accessible books consortium)
- 71の認証された団体が、グローバル・ブック・サービス(Global Books Service)に参加するためにWIPOとの合意書にサインした。また、23の団体が関心を表明している。
- 目録には現在、90言語、63万冊以上の書籍が登録されている。
- 能力開発については、10~15のパートナー団体が図書製作のための研修を受ける予定である。
- より多くの目録との統合が課題となっており、他の主な目録との協力についてはあまり進捗がない。
EPUBチェック(EPUB Check)
- 100%外部の助成を受けている。
- プロジェクトは再び軌道にのっている。
- 2020年の終わりにメジャーリリースを予定している。
- 2021年の第一四半期にプロジェクト完了予定。
Thoriumとreadium SDK
- 70~80%外部の助成を受けている。
- Thoriumのバージョン1.5が2020年10月にリリースされた。
- 理事の優先事項に対応して、ThoriumはMedia Overlaysをサポートした。
- 素晴らしいニュース:DAISY録音図書へのサポートが追加された。
- 読み上げ機能とスクリーンリーダーのアクセシビリティへの対応が更に改善された。
- ユーザーインターフェースが日本語に翻訳された!
Wordベースのツール
- Word to EPUB(ワード・トゥー・イーパブ)のバージョン1.0.3が2020年7月にリリースされた。製作されたEPUBをEPUBチェック、Ace、Thorium、Sigilで開くQ&Aウィザードを含む。
- オランダ語とドイツ語の翻訳も含む。
- 並行して、将来も使い続けられるWordをベースにしたDAISYとEPUB3の製作ツールの開発が進んでいる。
- 音声とテキストを含むマルチメディアDAISYの製作が可能な、人気のSave as DAISYとDAISY Pipeline (パイプライン)を改善したものをもとにしている。
- 最新バージョンのWordで動くようにすることが第一段階で、これはほぼ完了している。
- 第二段階では、テキストのみのDAISYと、マルチメディアDAISYをサポートする予定である。
- その次の段階では、テキストのみのEPUB3と、音声の同期した(Media Overlays)EPUB3をサポートする予定である。
開発途上国アライアンス
- COVID-19の流行に大いに影響を受けた。
- しかし、WIPOと共同したオンライン研修の開始によって切り抜けた。
- 研修の新規契約を再開した。この活動により、開発途上国での活動が持続可能になる。
- 実態調査と各国概況の準備はオンラインで継続している。
- インチョン戦略、IFLA、WHO等へのオンラインでの参加を継続している。
DAISYペディア
- 昨年は、ウェブサイトのリファクタリングのため、DAISYペディアの更新は停止していたが、今年は再開した。アクセシブルな読書や製作に関する良い記事を追加している。
研修とサポート
- オンライン研修のためのプラットフォームの配備により、大幅な変化があった。
- アクセシブルな出版と読書のための研修コースを作った。
- すでに何人かの開発途上国の人々はオンラインでの研修を受けて、来年はさらに多くの契約があることを予定している。
出典:2020年11月に開催された国際DAISYコンソーシアム理事会の資料より作成
M.M.