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全国LD親の会から教科書のアクセシビリティに関する要望書提出

2009-07-08 12:51:16  教育

全国LD親の会から教科書のアクセシビリティに関する要望書が提出され、賛同表明のお願いがでています。下記、LDニュースより抜粋。

■ 文科大臣宛及び国立国会図書館長宛要望書の趣旨への賛同表明のお願い ■

■ 文部科学大臣宛要望書を提出 NPO法人全国LD親の会 2009/06/15 ■ ■ 国立国会図書館アクセシビリティ確保に関する要望書/日本図書館協会 ■ ■ 朝日新聞「声」「デジタル化は教科書優先で」/福祉団体役員 河村宏 ■ ■ 「教科書のデジタル化進めて」 NPO団体代表 濱田滋子(奈良県) ■

■ 文科大臣宛及び国立国会図書館長宛要望書の趣旨への賛同表明のお願い ■

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-------以下転載・転送を歓迎致します。

ご案内のように、昨年9月に施行となった著作権法33条の2改正により、文科省検定教科書をLD等の発達障害の児童生徒のために、「拡大」したり「デジタル(デイジー図書)化」して複製することが、許諾を得ずとも著作権者に通知すればできるようになりました。

現在までに(財)日本障害者リハビリテーション協会等のご尽力により、全国各地で延べ300名以上のお子さんが、デイジー図書化された教科書を利用し学習しています。しかしながら、製作には多大な労力と資金が必要なため、全てのニーズには到底応じきれていないのが実情でございます。

去る6月12日著作権法改正案が成立しまして、来年の1月1日から施行されることとなります。概要は下記のURLをご覧ください。LD等の発達障害児者も、これまで視覚・聴覚障害児者のみしか対象にされていなかった、録音図書等を利用できる道が開けました。また、国立国会図書館においては納本されている図書(文科省検定教科書含む)を、直ちにデジタル化することが可能となります。

http://www.bunka.go.jp/chosakuken/singikai/housei/h21_shiho_01/pdf/sankoushiryo_3.pdf

さらに今回の補正予算により、国立国会図書館での蔵書のデジタル化事業に対して前年度比100倍という126億円の予算が付きました。これは、来年度まで越年させて使用できる予算とのことですが、残念ながらこのデジタル化事業では、今のところ検定教科書は対象となっていないようです。

ある試算によると、126億のうちの1~2%を使えば、現在小・中学校で使用されている主要な教科書や、高校教科書の一部がデイジー化できるのではないかとされています。全国LD親の会としても6月25日付けの文部科学大臣宛要望書で、このことについて要望しているところです(下記記事参照)。また、全国の公共図書館等で組織されている社団法人日本図書館協会からも、国立国会図書館長宛に要望書が提出されています(下記記事参照)。

そこでLDニュース読者の皆様にお願いでございますが、全国LD親の会や日本図書館協会の要望書の内容にご賛同いただけますようなら、その旨を貴団体の名義、有志、あるいは個人名でも結構でございますので、文部科学省、国立国会図書館、地元選出の国会議員さんなどに伝えていただければ幸いです。

新聞社、マスコミ、その他有識者等へのお知らせいただくことも歓迎です。参考までに朝日新聞東京版と大阪版の読者の声に投稿された方の許可をいただいて、転載致します。

急なお願いで申し訳ございませんが、よろしくお願い申し上げます。もしよろしければ、どちらへお伝えいただいたかをご一報くださるとうれしいです。

この件でのお問い合わせは、下記までお願い申し上げます。

連絡先 E-mail: keyaki@box.club.ne.jp

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■ 文部科学大臣宛要望書を提出 NPO法人全国LD親の会 2009/06/15 ■

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                          平成21年6月25日

文部科学大臣 塩谷 立 殿

                要 望 書

           特定非営利活動法人全国LD親の会理事長 内藤 孝子

 平成20年9月17日、「障害のある児童及び生徒のための教科用特定図書等の普及の促進等に関する法律」が施行され、あわせて「著作権法第33条の2」も改正され、LD等の発達障害のある児童生徒が学習できるように、適切な配慮がなされた検定教科用図書等の普及のために必要な措置が講ぜられることとなりました。

 しかしながら特別支援教育の現場において、LD等の発達障害のある児童生徒に対しての情報保障はいまだ不十分であり、適切な配慮がなされた検定教科用図書等の提供もほとんどなされていないのが現状です。

 また、第171国会において、去る6月12日障害者の情報格差是正等を目的として「改正著作権法」が成立し、平成22年1月1日より施行されることとなりました。今回の改正は日本政府として批准を目指している、「国連障害者の権利条約」の趣旨をふまえたものとも言われております。つきましては、LD等の

発達障害のある児童生徒の情報保障や学習権保障の観点から、下記のとおり要望します。

                  記

1.LD等の発達障害者の中には、「視覚や聴覚による表現の認識に障害がある」場合があることから、今回の改正著作権法で規定されている、「視覚障害者等」「聴覚障害者等」の範囲について、政省令による規定および運用に際しては、発達障害を含め、対象を極力広く捉えるよう配慮すること。

2.「障害のある児童及び生徒のための教科用特定図書等の普及の促進等に関する法律」に則り、LD等の発達障害のある児童生徒のための、バリアフリー化された教科用特定図書の普及のための予算措置を行うこと。(特に義務教育段階においては、無償給与のための予算措置)

3.LD等の発達障害のある児童生徒のための教科用特定図書に関する調査研究を引き続き拡充して実施すること。

4.国立国会図書館で計画されているデジタルアーカイブ事業と連携し、同図書館に納本済みとなっている検定教科書のデジタル化(デイジー化)に取り組むこと。

                                  以上

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■ 国立国会図書館アクセシビリティ確保に関する要望書/日本図書館協会 ■

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日本図書館協会の見解・意見・要望

http://www.jla.or.jp/kenkai/index.html

国立国会図書館「電子図書館」のデジタルコンテンツにおける読書障害者のアクセシビリティの確保と「点字図書・録音図書全国総合目録」の機能の拡充について(要望)

http://www.jla.or.jp/kenkai/20090610.pdf

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                        2009日図協第128号

                          2009年6月10日

国立国会図書館 館長 長尾 真 様

                社団法人日本図書館協会 理事長 塩見 昇

  国立国会図書館「電子図書館」のデジタルコンテンツにおける読書障害者のアクセシビリティの確保と「点字図書・録音図書全国総合目録」の機能の拡充について (要望)

 拝啓 時下ますますご清祥のこととお喜び申し上げます。

 平素より、当協会の事業にご支援、ご協力をいただき、誠にありがとうございます。

 またかねてから、貴館は障害者サービス拡充についてご尽力しておられ、重ねて敬意を表する次第です。

 改めて申し上げるまでもなく国立国会図書館は、障害のある人にもない人にも等しく知識と情報へのアクセスを保障する役割を担っており、電子図書館等により展開されるサービスにおいてもこの原則は変わることはありません。このたびの改正著作権法第37条により貴館におかれましても、すべての蔵書をすべての障害者の求めに応じて無許諾で必要な形式に変換して提供することが初めて可能となりました。

 また、改正著作権法第31条に関しましても、国の唯一の納本図書館としての貴館には、より大きな期待がされております。貴館の電子図書館サービスの充実が、障害者を含むあらゆる人々が、地域、年代、言語、社会的条件等を超えて、学び、研究し、問題を解決し、人生を充実させるものとなるなど、新しい知の共有基盤の創造を先導することになります。

 要望の前に、若干課題を挙げさせていただきます。

<貴館の電子図書館への取り組み>

近年、情報通信技術の発達によって従来の紙媒体の書籍に加えて、ウェブサイトや電子書籍によるデジタルコンテンツが普及し、それに伴い、情報入手や読書スタイルも多様化しています。貴館におかれましても「国立国会図書館 電子図書館中期計画2004」に基づき、電子図書館のコンテンツの充実と提供方法等について積極的に研究、推進しておられます。

 こうした状況の中、視覚障害者をはじめとする通常の活字による情報入手の困難な人(以下、読書障害者)の情報環境にも影響が生じています。

<読書障害者への配慮>

 読書障害者にとっても大きな可能性をもたらすことが期待されるデジタルデータですが、その形式によってはこうした障害者を排除する結果となります。貴館の「電子図書館」でも採用されている画像形式は読書障害者にはアクセス困難なものでありますが、残念ながら、デジタルコンテンツの提供における形式の主流となりつつあります。これにより、今後増大するデジタルコンテンツとその内容に多くの障害者がアクセスできないという、重大な情報障害、人権問題が生まれ、さらに拡大することが懸念されています。

<国のデジタル・アーカイブの役割>

 また、全国の公共図書館と点字図書館で製作されているDAISY資料や点字資料(点訳データ)につきまして、読書障害者への効率的なデジタルコンテンツの活用とデジタル遺産の保存の立場から集中的な保存と提供のシステム構築が求められています。

 これは上記「電子図書館中期計画2004」の趣旨に鑑み、「国のデジタル・アーカイブの重要な拠点」としての貴館の役割の一つであると考えます。そして、貴館ではすでに「点字図書・録音図書全国総合目録」というデータベースが機能していますが、デジタル時代のニーズに合わせて、DAISY資料等のネット配信等、新しいシステムへの拡充・移行を実現していただきたいと考えております。

<マルチメディアDAISY教科書の供給>

 さらに、デジタルデータは発達障害や学習障害のある人のための教科書作成にも大きな可能性を有しています。すでに欧米ではマルチメディアDAISY教科書の安定した供給を図るために国レベルの取り組みが行われている事例があります。

日本でもこうした障害のある人に対してデジタルデータを活用した教科書の供給体制の確立が強く求められています。

 この分野においても貴館の責任は大きく、マルチメディアDAISY教科書の保存と提供について、中心的な役割を果たしていただくことを期待します。

 以上のとおり、日本における電子図書館のナショナルシステム構築にあたり、リーダーシップを持って、各種事業に取り組んでおられる貴館に対して、その技術開発と推進の過程で読書障害者への情報アクセシビリティに十分配慮していただき、この分野においても他機関に範を示していただくことを強く望みます。

 ウェブアクセシビリティについては、既に平成16年6月に「ウェブアクセシビリティJIS(*注)」が制定されており、またおりしも日本においても「障害者の権利に関する条約」の批准に向けて、法律や諸制度の見直しが行われています。

 デジタルコンテンツの利用に関して「合理的な配慮」に基づき、読書障害者の情報環境の改善にご尽力いただくことを求めて、またこのたびの著作権法改正の機会を活かして、すべての障害者に対するより充実したサービスが展開されることを期待して以下のとおり要望するものです。

また併せて、この要望につきまして話し合いの場を設けていただくことをお願い申し上げます。

                                  敬具

                記

1.貴館ウエブサイトがW3CのWebコンテンツ・アクセシビリティー・ガイドライン2.0(注1)を満たし、電子図書館のデジタルコンテンツを含めたすべての情報に音声、点字、拡大文字等の利用者もアクセスできるよう、適切な配慮を講じてください。

2.国内の公共図書館、および点字図書館が製作したDAISY資料(今後、製作が見込まれるマルチメディアDAISY資料を含む)と点字資料(点訳データ)を「デジタル遺産の保存の一環として収集・保存するとともに、「点字図書・録音図書全国総合目録」等を通じて提供するサービスを実施してください。

3.教科書のデジタル化、および読める教科書を持たない発達障害児等に対する電子図書館機能を生かしたDAISY形式教科書の提供については国としての施策を緊急に実施すること(注2)を求めるとともに、貴館においても納本済み教科書等のデジタル化、全国で製作されているマルチメディアDAISY教科書を積極的に収集し、提供してください。

4.「点字図書・録音図書全国総合目録」の検索機能の充実と利便性を高めるために、全国視覚障害者情報提供施設協会が開発を予定している「視覚障害者情報総合ネットワーク」(現「ないーぶネット」「びぶりおネット」)との横断検索を実現してください。また、それに伴い、「視覚障害者情報総合ネットワーク」で提供される書誌情報について、「点字図書・録音図書全国総合目録」と整合性を図ることができるよう調整してください。

                                  以上

*注1:平成16年6月20日JIS X 8341-3:2004「高齢者・障害者等配慮設計指針-情報通信における機器,ソフトウェア及びサービス-第3部:ウェブコンテンツ」(「ウェブアクセシビリティJIS」と略)」

 http://barrierfree.nict.go.jp/accessibility/jis/

*注2:平成20年9月施行の著作権法改正によって国立国会図書館においても障害のある児童生徒の求めに応じて、無許諾で教科書等をデイジー形式の電子図書化して提供することは可能になっている。現在、多数の自分で読める教科書を持たない発達障害児等がボランティアの提供する教科書等を待っており、供給が全く追い付かない。また、刑務所や少年院等の矯正施設においては普通の印刷物を読むことができない多数の知的障害者等がおり、更生のための教育にデイジー形式の教科書等を必要としている。国立国会図書館電子図書館がこれらの障害のある人々に生きた情報サービスを展開することが期待される。

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■ 朝日新聞「声」「デジタル化は教科書優先で」/福祉団体役員 河村宏 ■

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筆者の許諾を得て、転載しています。

------------- 朝日新聞 2009/05/31 朝刊

デジタル化は教科書優先で

福祉団体役員  河村 宏 (東京都調布市 62)

 予算約126億円がついた国立国会図書館のデジタル化を本紙社説が支持した(25日朝刊)。適切な形式のデジタル図書は多くの障害者や高齢者に優しい。

発達・学習障害などで「読める」教科書がない子どもたちも国内に多数おり、デジタル化には教科書整備を優先すべきではないだろうか。

 私も携わる日米欧豪の非営利団体はデジタル録音図書の国際標準規格「DAISY(デイジー)」を開発、無償提供し図書のデジタル化を進めてきた。デイジー図書は文章に音声・画像がつき、検索が容易で、視聴覚障害のみならず発達・学習障害児を含む人々が自力で読める。

 日本では視覚障害児のために拡大教科書は予算化されているが、発達・学習障害児にも有効なデイジー版教科書はボランティア頼りで、供給が足りていない。

 教科書のデイジー化は昨年の著作権法改正で認められ、国会図書館がデイジー版教科書を提供するための法的環境は整った。「読める」教科書のない子どもたちや高齢者の存在に心を配った蔵書のデジタル化を切に望む。

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■ 「教科書のデジタル化進めて」 NPO団体代表 濱田滋子(奈良県) ■

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筆者の許諾を得て転載します。-----

2009年6月5日(土)の朝日新聞「声」掲載(大阪本社版)

 国立国会図書館に本のデジタル化の予算126億円がついたことを先日の社説で知りました。私たちは、知的発達に遅れはないのに読み書きなどが困難ないわゆる学習障害の子供たちのために、教科書をデジタル化する非営利活動をしています。国会図書館はこのようなデジタル化にも取り組んでほしいと願います。

 私たちがしているのは、教科書を、本文と画像と音声が同期したマルチメディア図書にすることです。デイジーという国際標準規格を採用しています。使っている子供から「授業の内容がよく理解できた」と感想が届きます。

 視覚障害児用として、教科書を点字化したもの、拡大したもの、録音化したものは国の予算で用意されていますが、学習障害などの子供向けは用意されていません。

 これらの障害の子供たちのためのデジタル化も、国会図書館の大切な役割であると考えます。

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